法律を守る必要がある、ということは理解しているかもしれません。しかし、事業に関連する法律が多すぎて、どこから手をつければいいのかわからなくなってしまっているのではないでしょうか。
そこでこの記事では、コンプライアンスに関係する主要な法律を、消費者との契約、安全性、表示、情報保護、労働などのジャンル別に、シンプルにまとめました。
どの法律がどんな場面で役立つのかが分かるようになるので、トラブルを防ぎ、安心して業務を進められるようになるでしょう。
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コンプライアンスと法律の関係とは?
法律を守ることは、コンプライアンスの基本とも言えるでしょう。もし法律に違反してしまう場合と、違反だと知らなくても事業者の行動や契約が無効になることがあります。罰金や行政からの処分を受ける可能性もあります。
そのため、事業者がコンプライアンスを考えるときは、事業に関係する法律をきちんと理解し、どのような状況で問題が起こるかを把握しておく必要があります。
消費者との契約に関する法律
民法
民法は、私たちの生活に深くかかわる法律で、「個人の権利を守り、トラブルを防ぐこと」を目的としています。主に個人同士の関係や財産に関するルールを定めていて、物を買う、借りる、贈るといった日常的な行為や、家族や相続に関する決まりが挙げられます。
民法は大きく5つの分野に分かれています。
- 物を所有する権利やお金を貸す場合のルールを定めた「物権」「債券」
- 結婚、離婚、親子関係について扱う「家族法」
- 遺産の分け方を定める「相続法」
これらのルールがあることで、私たちは安心して日常生活を送ることができます。
消費者契約法
消費者契約法は消費者を守るための法律で、企業と消費者の間の力の差を調整し、消費者が安心して契約できる環境を作ることを目的としています。。
企業やお店と契約を結ぶとき、消費者は情報が少なかったり、冷静に判断ができない場合があります。そんなときに不利な契約から消費者を守るのが、この法律です。
たとえば、企業が嘘や誇張した説明で商品やサービスを売りつけた場合、消費者にはそれを取り消せる権利があります。また、契約書に消費者にとって不利な条件が書かれている場合、その部分を無効にすることができます。
特定商取引法(特定商取引に関する法律)
特定商取引法は、消費者が安心して商品やサービスを購入できるようにサポートするための法律です。対象は、訪問販売、電話勧誘販売、インターネットショッピングなどがあります。
この法律では、
- 販売する前に契約内容を分かりやすく説明する義務を課する
- 不必要に高額な商品を売りつけられた場合に契約を取り消す「クーリング・オフ制度」の制定
- 消費者が誤解するような広告や説明を禁止
- 不正な行為に対しては厳しい罰則を科する
などが定められています。
割賦販売法
割賦販売法は、分割払いで商品やサービスを購入する際に、消費者を守る法律で、分割払いをする際に生じうるトラブルを防ぐ目的があります。
この法律では、
- 分割払いの契約内容を分かりやすく説明する義務
- 消費者が不当に不利な契約を結ばないようにする仕組み
- クーリング・オフ制度を利用して、一定の条件下での契約解除
- クレジットカード等の支払い方法に関する規定
が定められています。
商品の安全性に関する法律
製造物責任法(PL法)
製造物責任法(PL法)は、製品の欠陥によって消費者がケガをしたり、財産が壊れたりしたときに、製造者が責任を負うことを定めた法律です。
この法律では、製品に設計や製造の問題があった場合や、正しい使い方をしても危険な場合に、製造業者や輸入業者が損害を賠償しなければなりません。消費者がミスを操作しなくても、製品に欠陥があるだけで責任が問われる点です。
食品衛生法
食品衛生法は、私たちが食べる食品の安全を守る法律です。この法律は、食品を通じて健康を害しないように、食品の製造、加工、販売などに関するルールを定めています。
たとえば、食品工場や飲食店では、衛生的な環境で作業することが義務づけられています。賞味期限や保存方法を表示するルールがあったり、食品に使用する添加物に規制があるのも、この法律のおかげです。
もし違反があった場合、製品の改修や業務停止命令などの罰則が科されます。
消費者安全法
消費者安全法は、消費者が安全に生活できるよう、自己や危険から守るための法律です。
この法律は、事故が起きる前にリスクを減らし、万が一、事故が起きた時にも迅速に対応できるようにすることを目的としています。商品やサービスが原因で起こるトラブルや事故の情報を集め、消費者に警告したり、問題解決の仕組みを整えたりしています。
たとえば、家電製品に欠陥が見つかった場合、この法律に基づいて行政が情報を公開したり、企業に製品を回収するよう指示することがあります。また、消費者が被害に遭った場合には、相談窓口を通じて支援を受けることができます。
商品の表示に関する法律
不正競争防止法
不正競争防止法は、企業同士の公平な競争を守るための法律です。企業が商品やサービスを売るとき、他社の評判や利益を不正な方法で奪う行為を防ぐことを目的としています。
この法律では、たとえば他社の商品やサービスにそっくりなデザインや名前を使う行為、営業の機密情報を盗む行為、誤解を招く広告などを禁止しています。また、他社の評判を傷つけるような偽情報の流布も規制の対象です。
もしこれらのルールに違反した場合、罰則が科され、被害を受けた企業は損害賠償を求めることができます。不正競争防止法は、公正なビジネス環境を守り、消費者が安心して商品やサービスを選べる社会を作るための重要な法律です。
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)
景品表示法は、商品やサービスの宣伝や広告が消費者をだますことがないようにするための法律です。消費者が正しい情報をもとに商品やサービスを選べるよう、公正な表示と適切な景品提供を求めています。
この法律では、たとえば商品の性能や価格について実際よりも良く見せる「誇大広告」や、他社商品と不当な比較をする行為を禁止しています。また、消費者を誘引するための景品(プレゼントや特典)の金額や内容にも制限があります。
たとえば、過剰な景品で消費者を引き付ける行為は、公正な取引を妨げるとして規制されています。
食品表示法
食品表示法は、食品のパッケージに書かれる情報が正確でわかりやすいものになるようにするための法律です。この法律のおかげで、消費者は食品を安全に選ぶことができます。
たとえば、
- 食品に含まれる原材料、栄養成分、賞味期限
- アレルギーを引き起こす可能性がある材料
- 無添加や国産といった表現に対する厳しい基準
が設けられています。
消費者の情報に関する法律
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)
個人情報保護法は、私たちの名前や住所、電話番号などの個人情報を守るための法律です。この法律は、個人情報が適切に扱われることで、プライバシーが守られ、安心して生活できる社会を作ることを目的としています。
企業や団体が個人情報を集める場合、利用目的をはっきり説明し、必要以上の情報を集めないようにする義務があります。また、情報を第三者に渡す場合には、本人の同意が必要です。さらに、情報が流出しないように安全に管理することも求められています。
万が一、個人情報が不正に使われたり流出した場合には、法律に基づいて罰則が科されることもあります。個人情報保護法は、私たちの大切な情報を守るために欠かせない法律です。
会社の運営・情報開示に関する法律
会社法
会社法は、会社を作ったり運営したりする際のルールを定めた法律です。この法律は、会社を適切に運営し、関係者みんなが安心できる仕組みを作るために存在します。
会社法では、
- 会社を設立するための手続きや、株主、取締役、社員などの役割と責任
- 会社が利益を分配する方法
- トラブルが起きたときの解決方法
- 会社が倒産した場合の対応
- 他の会社と合併する際のルール
などが規定されています。
金融商品取引法
金融商品取引法は、株式や投資信託、債券などの金融商品を売買するときのルールを定めた法律です。この法律は、投資家を守り、公正で透明な取引を実現することを目的としています。
たとえば、金融商品を販売する会社には、
- 商品内容やリスクをわかりやすく説明する義務
- 誤解を招く広告や、消費者に不利な契約条件を隠す行為の禁止
- 株価操作やインサイダー取引のような不正行為の規制
が設けられています。
事業者間の競争・取引に関する法律
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)
独占禁止法は、企業同士が自由で公正な競争を行えるようにするための法律です。この法律は、特定の企業が市場を独占したり、不正な取引を行ったりすることで、消費者や他の企業に不利益が生じるのを防ぎます。
たとえば、複数の企業が話し合って価格を一斉に上げる「カルテル」や、大企業が競争相手を排除するために不当に安い価格で販売する「ダンピング」といった行為は、この法律で禁止されています。また、合併や買収によって市場の競争が妨げられる場合も規制の対象となります。
下請代金支払遅延等防止法(下請法)
下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、大企業と中小企業の間の取引を公正にするための法律です。この法律は、大企業が下請業者に対して不当に不利な条件を押し付けたり、代金の支払いを遅らせたりすることを防ぐことを目的としています。
たとえば、大企業が下請業者に発注した後で価格を一方的に引き下げたり、契約していない作業を無料でやらせるといった行為は、この法律で禁止されています。また、納品後に決められた期間内に代金を支払わなければならないことも明記されています。
知的財産権に関する法律
特許法
特許法は、発明を守るための法律です。新しい技術やアイデアを生み出した人(発明者)が、その成果を独占的に使える権利を与えます。これを「特許権」といいます。特許を取ることで、他の人が勝手にその技術を使ったり、真似をしたりするのを防ぐことができます。
たとえば、新しい機械や製品の仕組みを発明した場合、特許を申請して認められると、その発明を独占的に活用できる期間(通常20年)が与えられます。この間、他の人がその技術を使うには発明者の許可が必要です。
著作権法
著作権法は、本や音楽、映画、写真、絵画など、創作された作品を作った人の権利を守るための法律です。これらの作品を無断で使ったりコピーしたりすることを防ぎ、創作者が安心して活動できる環境を提供します。
たとえば、作家が書いた小説や作曲家が作った曲には、その作った人に著作権があります。この権利があることで、他の人が許可なくその作品を使ったり、改変して販売したりするのを禁止できます。著作権は、作品が作られた時点で自動的に発生し、一般的には創作者の死後70年まで保護されます。
商標法
商標法は、商品やサービスの名前やロゴ、マークなどを守るための法律です。企業やお店が使う名前やデザインが他人に真似されるのを防ぎ、ブランドの信用を守ることを目的としています。
たとえば、有名なお店のロゴや商品名が他の会社に真似されてしまうと、消費者が混乱したり、企業の評判が傷つくことがあります。商標法では、これを防ぐために「商標登録」を行う仕組みがあり、登録された商標は他の人が勝手に使えなくなります。
労働者に関する法律
労働基準法
労働基準法は、働く人たちの基本的な権利を守るための法律です。主に、労働条件や労働時間、賃金、休みなどについての最低限のルールを定めています。これにより、働く人が不当な扱いを受けることを防ぎます。
たとえば、1日の労働時間は原則として8時間まで、週に40時間までと決められています。また、残業をする場合は、追加の賃金(残業代)を支払わなければなりません。さらに、休日や有給休暇の取得に関するルールも規定されています。
労働契約法
労働契約法は、働く人(労働者)と雇う人(会社)との間で結ばれる「労働契約」の基本的なルールを定めた法律です。労働契約は、働く条件や役割を約束する重要なもので、この法律はその内容を公正にし、トラブルを防ぐことを目的としています。
たとえば、労働契約では、どのような仕事をするのか、勤務時間や給与などが取り決められます。この法律では、契約内容を明確にすることや、労働者に不利な変更をしないことが求められています。また、働く環境が悪化しないよう、職場での安全や公平な扱いを守るためのルールも定められています。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は、働く人たちが安全で健康的な環境で仕事ができるようにするための法律です。この法律は、職場での事故や健康被害を防ぎ、働く人の命や健康を守ることを目的としています。
たとえば、
- 職場環境を安全に保つための具体的な基準を定める
- 健康診断の実施
- ストレスチェックの実施
- 危険な作業を行う場合には、事前に特別な教育や訓練を受ける
といったことが定められています。
まとめ:事業内容や事業展開にあわせて取捨選択しよう!
この記事では、コンプライアンスに関係する主要な法律を、消費者との契約、安全性、表示、情報保護、労働などのジャンル別に、シンプルにまとめました。
必要な法律は、事業内容や事業展開によって大きく変わります。すべてを網羅しようとすると途方に暮れてしまいかねないので、取捨選択をして優先度の高い法律から理解を深めていきましょう。
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